ishibashihiroki’s blog

経済アナリスト

56歳からコードを書き始めて食べていく方法

私は56歳、最近プログラミングを始めたんだ。
なぜかって?やりたいからに決まっているじゃないか。ようやく最近コツをつかめてきてね。でもコツをつかめたからといって簡単にはいかない。正直なかなか手こずっている。でもいいんだ。
アルゴリズムに挑戦して我を忘れるのは楽しいし、まだテストしたい事があって「あと数分だけ」と繰り返し自分に言い聞かせるのもいい。「今度こそ上手くいったかも、、」とドキドキしてから「やったぞ!ついに動いた。」となる瞬間も大好きだ。
でもこんな私には今まで趣味と呼べるものが何ひとつなかった。自分に見返りがない事に時間を費やすのは嫌だったんだ。ただ楽しみのためだけに何かをするのが好きじゃなかったのさ。休みの日にやる事といったら、ちょっとした小遣い稼ぎになるような事ばかりだった。
オーケー。もちろんコーディングだって小遣い稼ぎさ。上手くやればかなり稼げる。これだってあなたから見れば今まで私がやって来たことと同じに見えるんだろう。
ところで、56歳のプログラミング初心者としての自分を完全に受け容れられるようになる前の私は、クリティカル・インナー・セルフ[分身のような内的自己](長いのでCISと呼ぼう)と上手く付き合わなければならなかった。
プログラミングは学ぶ事が多いから、このCISが始終耳元で囁いてくれなければ到底続かないだろう。このCISという奴はなかなか手強くて、コイツを言い負かす事が出来れば誰とでも上手く仕事を出来そうな感じだった。
CIS:なぜあんたみたいな老いぼれがプログラミングの勉強を始めたんだい?
私:老い先が短いのになんで今更プログラミングを始めたのかと本当は聞きたいんだろう。プログラミングを学んだって残された時間がそれ程ないから、あまり稼げないと言いたいんだな。ハッキリそう聞けばいいじゃないか。
そうだな、私はアメリカ人だから平均寿命は78.8歳だ。とするとまだ22.8年近く残っていることになる。20歳の人間からするとそんなに長くはないだろう。でも私は56歳なんだし、まだまだ道で踊れるくらい元気だ。(それに考えてみれば、私は56歳まで元気に過ごせた訳なんだから、この調子なら78歳までもいけそうだ。まぁどうでもいい話だが。)
さて、それじゃ私が怠け者でフルスタック・エンジニアを目指すFree Code Campの1年コースに4年かかったとしよう。すると駆け出しのエンジニアになった頃には私は60歳だ。
年齢のせいもあって職探しにさらに2年かかったとしよう。さらに、そうだな、首を切られるのが70歳と仮定してみようか。とすると経験を積む時間が8年ある事になる。
それだけの時間があればかなり上達もするだろう。それに今まで長く生きた経験から「隣の芝生は青い」ものだとよく分かっている。だから、簡単に転職などせずに最初に雇ってくれた人のもとで長くやれると思う。でも、20歳の若者が今時8年も同じ所で働けるだろうか?
CIS:でも今あんたが稼いでるような額を払う人なんていないだろ。
私:それはプログラミングを学んでいるかに関係ない質問だね。でも、お前が何を言いたいかは分かるよ。おそらく私が職につけたとしても初心者レベルの仕事しか入って来ないだろうし、給料は今より少なくなるはずだ。
でも、既に今の段階で私の給料は5年前に比べると減ってきている。この5年、経験の方はますます積めているというのに。それに今の仕事そのものが消えてなくならない保証はどこにもない。そして、仕事がなくなってしまえば、いずれにせよ新しい勤め先を見つけなければならなくなる。自分の年の事も考えると、、、給料が大幅に下がっても文句は言えないだろう。
それならむしろスキルを身につけ、ポートフォリオを作り、初心者レベルの仕事であってもより多く稼げる可能性のある道に進むか、頑張って職探しをしてフリーランスの仕事でも見つけようと思っている。
CIS:でもテック企業は年寄りではなく大学を出たての若造を雇いたがるものじゃないの?
私:それは大した問題じゃないな。私はシリコンバレーに住みたくもないし、巨大なテック企業で働くつもりもないから。
ある統計によると、2020年までにプログラマーはさらに100万人近く必要になるそうだ。これら全てが「ビッグ4」と呼ばれるGoogleFacebookAmazon、そしてMicrosoftで働くわけではない。実際、ほとんどの新たなプログラミングの仕事はテクノロジー業界以外で生まれるだろう。
私が最初にコンピューターの仕事をしたのは病院でだった。私自身はプログラミングが出来なかったけれど、IT部門のほとんどがプログラマーだった。この話は何と1982年の事なんだよ。
CIS:なるほど。それでどうやって仕事を見つけるつもりなんだい?
私:まず何より真っ先に手をつけるつもりなのは、出来るだけ多くの仕事に申込みをして、多くの採用担当者とネットワークを築くことだ。数多くの面接を受けられればそれだけ可能性は増すし、喜んでそういう挑戦に挑もうと思ってる。
2000年以前の輝かしいキャリア?そういったもの全部プログラミングの仕事と無関係だから履歴書にも書けない。
でもいったん面接の場に行けば、好々爺のように振舞うつもりはない。志願者の1人として、プログラミングへの情熱ともっと学びたいという意欲があるのは他の志願者と同じだ。そういう場では本来の自分以上の見せかけは出来ない。それに何より大事なコードやその他のテストもある。
間違いなく幾つかの面接では失敗するだろう。でも幸い、ソフトウェア開発者を雇っている会社は他にも色々ある。だから諦めず努力するつもりだ。
CIS:プログラミングのチームは若者ばかりだぞ。どうやって周りに慣れていくつもりなんだい?
私:「慣れる」というのが、「彼らの仲間になる」という意味なら、確かにお前の言う通りだろう。私は「慣れ」るつもりはない。
今の仕事では、毎日職場の誰かが私に新しい知識を教えてくれる。だから、しっかり聞いているんだ。何でもかんでもとやかく社内のあれこれを知りたいとは思わないし。でも、それでも上手くいかないようなら、もうやれないと認めるよ。
この36年間、どの仕事でもずっとそういう風にやって来たんだ。
CIS:まずまずの仕事があるんだから、それで満足したらどうだい?その仕事こそが進むべき道なんだよ。特にあなたの年齢を考えると。
私:満足する?遅すぎだな。もう私は自分の生き方を「再構築」したよ。
プログラミングを学ぶとやる気と元気が出てくるんだ。セカンドキャリアに向けて頑張っていると、日々の仕事の辛さを乗り越える事が出来る。
それにお前は60歳、70歳、さらにもっと先まで生きるかもしれないわたしがどんな道に進むのがベストか本当に分かっているのかい?私自身全く分かっていないんだぞ。
CIS:今やってる事全てが時間の無駄ではないと言い切れるのかい?
私:本当はこう聞きたいんだろう?「もしプログラミングを学んだ後でフルタイムの給料をもらえなかったらどうするつもりなのか?」と。
私の答えはこうだ。
「だから何だ?」
それなりの給料はもらえるだろうし、何かをする時間もまだある、プログラミングを上達する余地もまだある。他にも、こんなやり方もある。
ウェブ・アプリを作ってファンやフォロワーを増やす。それから価値ある課金サービスを生み出す。
ローカルビジネスを支援するウェブ・ビジネスを始める。
プログラミングのノウハウと、元からあるSaaS APIの知識を組み合わせてニッチなコミュニティー向けのサーヴィスを作る。
言い方を変えると、アイデアの生み出し方を学び、ユーザーに価値あるサーヴィスを提供し、そこから収入を得るという方向性もあるということだ。
フルタイムの仕事があろうとなかろうと、これは出来る。
だから私は56歳からコードを書き始めたんだ。